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最高裁判所第二小法廷 昭和44年(ク)432号 決定

抗告人 村田英明(仮名)

相手方 村田秋子(仮名) 外三名

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告代理人柳沢弘士の抗告理由について。

論旨は、家事審判規則一〇六条一項の処分に対し不服申立の方法を認めない家事審判法一四条ないし家事審判規則は、憲法三二条に違反すると主張する。しかし、審級制度をいかに定めるかについて憲法は八一条の規定以外になんら規定するところがないから、同条所定の場合以外の審級制度は立法をもつて適宜にこれを定めるべきものであり、このことは当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇日大法廷判決、刑集二巻三号一七五頁、昭和三二年(ク)第二一五号同年一〇月二三日第二小法廷決定、民集一一巻一〇号一七七六頁)。したがつて、右家事審判法および家事審判規則の規定が憲法三二条に違反しないことは、右判例の趣旨に照らし明らかであり、論旨は採用することができない。その余の論旨はすべて民訴法四一九条ノ二所定の場合に当らないと認められる。

よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 村上朝一)

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